ロズウェル事件:
New Mexico

世界で最も有名なUFO事件

 UFOや宇宙人の話に少しでも興味がある人なら、「ロズウェル」という単語を聞いたことがある人は多いと思われる。1947年にロズウェルで起こった事件は、TVドラマ『ロズウェル』(1994 アメリカ)や、『ロズウェル星の恋人たち』(1999 アメリカ)をはじめ、世界の様々なメディアで多種多様に取り上げられている。ニューメキシコ州の小さな町ロズウェルは、この事件をきっかけに世界で最も有名なUFOの町になり、世界中のUFOファンが訪れる伝説の聖地として、今もにぎわっている。

 ロズウェル事件には、少々、複雑な経緯が含まれているため、ここではわかりやすく、このロズウェル事件について、簡単に説明することにしよう。

 1947年7月8日、アメリカ、ニューメキシコ州ロズウェルの新聞「ロズウェル・デイリー・レコード」が「噂されていた空飛ぶ円盤が、ロズウェル陸軍航空基地の部隊によって回収された。」と発表した。

 このニュースは世界中で報道され、一時は世界を仰天させたが、翌日の同紙には、「空飛ぶ円盤と思われていた物体は、気象観測用気球であった。」と発表された。この発表によって騒ぎは収まり、この事件は、この後にできたアメリカ空軍のUFO調査機関の調査対象からもはずされていた。

 しかし、事件から33年経った1980年、ウィリアム・ムーアとチャールズ・バーリッツによる『ロズウェルUFO回収事件』が出版され、再びこの事件が世間のスポット・ライトを浴びた。この本によると、1947年7月2日夜に、2機の空飛ぶ円盤がロズウェルに墜落したという。1機は、フォスター牧場の牧草地に墜落。ロズウェル陸軍航空基地の情報将校ジェシー・マーセル少佐ら3人によって、その残骸が回収された。そして、2機目は、コーン牧場敷地内の崖に墜落し、なんと墜落した機体の近くには、宇宙人の死体があった。それは現場に駆けつけた軍によって回収されたという。

 その後、この事件に関する研究調査が、多くのUFO研究家によって行なわれたが、その真相は今もアメリカ政府によって隠し続けられているというのである。

 以上が、ロズウェル事件の流れである。おおまかに言えば、「UFO墜落事件報道。→翌日、否定報道。→33年後に、事件の真相らしき本の出版。」という流れである。

 『ロズウェルUFO回収事件』により、ロズウェル事件とは、「墜落したUFOから宇宙人が回収された事件」となり、つづく1987年には『MJ12文書』という政府の要人によって構成されたUFO情報管理機関の極秘文書が公表され、この文書に、ロズウェルUFO回収と宇宙人死体回収のことが記されていたことにより、ロズウェル事件の決定的な証拠とされた(後に、この文書は偽者であると判明)。

 このように、UFO研究業界が騒然とする中、アメリカ政府はこの事件を否定し続けていたが、1994年9月8日、ついに、ロズウェル事件に関する調査報告書がアメリカ空軍から出されたのである。

 結果から言うと、この墜落した円盤と言われた物体は、「プロジェクト・モーガル」という、当時、政府の機密プロジェクトで使用された気球だったのである。このプロジェクトは、旧ソ連の原子爆弾開発段階の調査が目的で、核爆発やミサイルの低周波音を、気球に取り付けた音響センサーからキャッチするというものだった。

 調査報告書によれば、墜落した時の状況と、墜落した円盤(気球)の残骸については、『ロズウェルUFO回収事件』以降の円盤墜落説とは次のように違っている。

円盤墜落説
調査報告書
・事件発生現場は2箇所
→ 事件発生現場は1箇所
・地球上にはない、薄い金属片
→ アルミ箔を貼った紙
・謎の象形文字が施された部品
→ バルサ材と花柄模様のテープ

 プロジェクト・モーガルは当時、最高クラスの機密プロジェクトだったことから、軍による回収翌日の発表でも「気象観測用気球」と虚偽の発表をせざるを得なかったと考えられる。軍は宇宙人が乗った円盤の秘密を隠したのではなく、国家の機密プロジェクトを隠蔽していたと考えたほうが自然なのである。

 ただ、この発表を聞いたUFO研究家達は「宇宙人の死体はどうなった?」という疑問を持っていた。その疑問に答える形で、1997年6月24日にアメリカ空軍により発表されたロズウェル事件に関する最終報告書によると、当時、ニューメキシコ州では、飛行パイロットの非常脱出装置の実験のなかで、プラスチック製のダミー人形の降下実験が行なわれていたという。その人形は何度も使いまわしたので、指や足の部分が破損していたのだが、予算の関係で同じものをずっと使用していたという。このダミー人形の回収現場を見た人が、宇宙人の回収と見間違えたのではないかと報告書は述べている。

 だが、一連の発表にもかかわらず、アメリカ政府は真実を隠していると考える研究家は今も多いという。2001年5月9日、ワシントンで記者会見を行なった「ディスクロージャー・プロジェクト」という団体の趣意書には、ロズウェル事件で回収された物体は気球ではないと述べられているのである。

 すでにエンターテインメント業界の格好の材料となったロズウェル事件を、これ以上、公の場で否定するのは、それにあらゆる形で携わっている人の多くにとって不利益にしかならない。アメリカ空軍の報告書等でその真実を知ってしまった人は「真実を知りながら、騙されるのを楽しむ」という大人の精神でこの事件を楽しむのが懸命だと考えられる。

 
     

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